せせらぎ通りにて
昨年9月1日に開業させていただいたよしかわ整形クリニックは、糸満市真栄里にある通称「せせらぎ通り」に面しています。小粋な名前で気に入っているのですが、これは道路脇に流れるわき水を水源とする小川に因んでいます。土曜日や日曜日には近所の子供達が、小さな魚(グッピー?)を捕りに来たりします。開業後9ヶ月が過ぎましたが、まだまだ新鮮な気持ちは不思議と失われていません。開業準備の慌ただしさの中で感じた「人の有り難さ」が今でも心の支えになっています。個人的な都合やこだわり、独りよがりの思い入れを暖かく受け入れ支えてくれた方々に、この場を借りて感謝の言葉を捧げたいと思います。「人はひとりでは生きてゆけない」そんな当たり前のことが、とても大切な心の糧として胸に刻まれた日々を、私は生涯大切にしたいと思います。
よしかわ整形クリニックを開業するにあたり、私は三つの誓いを定めました。
一、患者様とその家族に、心のこもった医療サービスを提供いたします。
二、生きていることの喜び、健康であることの幸せを共有できる雰囲気づくりに尽力します。
三、職員ひとりひとりが、生き甲斐を持って働ける職場を目指します。
言うは易し、行うは難しで、まだまだ道半ばにも達していませんが、大きく外れる事のないよう頑張りたいと思います。そしてもうひとつのスローガンを患者様向けパンフレットに書きました。「オールスターキャスト:よしかわ整形クリニック職員には、上下の関係はありません。皆が責任者であり小間使いです。全員が主人公であると同時に名脇役なのです。」これはそのまま実践しております。火木土の処置室トイレ掃除当番は私です。職員に対しては経営の面からは厳しいことも言いますが、上から目線の発言はしていないつもりです。医師が偉いとも、院長が上だとも思っておりませんが、年長であることはそれだけで偉いと思っているので(幸い私は一番の年長ですので)、多少のわがままは、職員に許してもらっています。
業務終了後、院長室の机に向かうと、なすべき事・学ぶべき事の多さに閉口し、自らの非力に直面する毎日ですが、開院に至るまでの、そして開院してからの多くの人々のご厚意を励みに、一歩一歩自分の目標に向かって歩き続けて行こうと、志を新たにする今日この頃です。夜更けて医院を出るときに、小川のせせらぎがかすかに、そして涼やかに聞こえて来ます。
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